サイコパスを操作する

サイコパスから学ぶ

”悪の人格”は最高のギバーになれるか?

ダーク・トライアド(DT)特性とは、邪悪な3つの人格、すなわち「サイコパシー」「マキャベリズム」「ナルシスト」の傾向を表す用語である。 主に心理学の研究に用いられる概念で、ダークトライアド・パーソナリティテストという評価スケールが存在する。臨床…

「恐怖を知らない人たち」 サイコパスと利他主義者

要約 自分の身を犠牲にし他人の為に行動する「並外れた利他主義者」はサイコパスよりも大きな扁桃体を持っており、恐怖表情の認識力が高い。これは、サイコパスに見られる扁桃体の機能不全および恐怖表情の認識障害と対照的である。 利他的行動は”感情的”な…

サイコパスとソシオパスについて適当に語る

基本的にサイコパスは冷淡な人、ソシオパス(=反社会性人格障害/ASPD)はキレやすい人として区別できる。 より専門的には、前者は情動障害、後者は衝動性と反社会的行動が特徴。最近ではASPDにも遺伝的な要因が示唆されているので、「先天的か後天的か」とい…

「反共感論」 -共感性と良心について-

私はこれまで、サイコパスには情動的共感性が欠けており、反社会的行動を学習する可能性が高くなるということを説明してきた。読者の中には「共感性の欠如=悪」という価値観を抱くようになった人もいるかもしれない。 それは大きな間違いである。たしかに情…

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”サイコパスの神経学的仮説”

この章ではついに、「サイコパスはなぜ情動障害をもち、道具的攻撃性を示すのか」を説明する。この章は難しい上に長いので、はじめに簡単な結論を示しておく。 サイコパスは遺伝子異常によって、不快な刺激に対する扁桃体の反応性が低下するため反社会的行動…

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”反応的攻撃の認知神経学的仮説”

これまで反応的攻撃と道具的攻撃の区別の重要性を指摘してきたが、「そのような区別が本当に可能なのか」という疑いを払拭するためにも、これらが異なる神経メカニズムによって引き起こされるということを説明しておくべきだろう。 今回は「反応的攻撃のメカ…

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”サイコパスの神経学的仮説”

今後の章では、神経科学の観点から解説をしていく。 とくに今回は、サイコパスの情動・認知的障害が「脳機能のどのような異常によって生じるのか」という ”仮説” について触れていく。 とはいえ、結局はどれも”仮説”に過ぎず、完全に実証されているわけでは…

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”サイコパスの機能的障害”

前回はサイコパスに関する遺伝子と環境要因について説明をした。 今回は、サイコパスがもつ情動と認知の障害についてみていこう。 サイコパスは不安障害か? サイコパスは不安を感じにくく、それにより反社会的行動が促進されるということを示すデータが数多…

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”サイコパスの根本的原因は何か?”

よく考えれば分かることだが、「サイコパスは扁桃体の機能不全あるいは前頭葉の障害が原因である」というような説明は、まったく役に立たない。 これだけでは、その機能不全によって結果的にもたらされる能力の障害、行動上の障害が生じる理由について適切な…

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”背景的情報”

今回は、サイコパスの「疫学」について検討する。 特に、性別による違いや知能、社会経済的地位(SES)との関連、そしてADHDや統合失調症など他の精神障害に合併する頻度について考察する。 サイコパスの有病率 サイコパスの行動や情動の特性を人が初めて聞く…

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”サイコパスとは?”

これから9回にわけて、ジェームズ・ブレア 著「サイコパス -冷淡な脳-」を ”高校生でも分かるレベルで” 超訳していこうと思う。 僕は、この本を隅々まで理解すればサイコパスに関する誤解はなくなり、正しい知識をもって「彼はサイコパスではないか?」と疑…

日常的な印象操作

ネタ枠の第三回目になります。 今回は、僕が個人的に使っている印象操作のテクニックと、その心理学的効果についてお話します。根拠が希薄な内容なので、温かい目でご覧ください。 穏やかなカリスマ性 「穏やかさ」と「カリスマ性」は相反する概念でしょうか…

サイコパスとジレンマ

トロッコのジレンマ 「トロッコのジレンマ」という有名な問題がある。 あなたは次の問いに対して、YESかNO、どちらを答えるだろう。 サイコパスは、迷うことなくYESと答える。 つまり、目的のために人を殺す行為を認める。 道徳とは「何が善くて何が悪いのか…

サイコパスと神経伝達物質

今回は「サイコパシー・ハンドブック」と「サイコパス-冷淡な脳-」を参考に、サイコパスと神経伝達物質についてみていこう。比較的ハードコアな内容なので、先に簡単に結論を示しておく。 セロトニン:低値は攻撃性に結び付く。恐怖表情の認識にも関与するの…

あなたの中のサイコパシー

「実は俺、サイコパスなんだよね。」と言われても、大抵の人は苦笑いを浮かべるだろう。本当にサイコパスならそのような無益なカミングアウトはせず、良心的な人間を装うことに努めるはずだ。 また、サイコパスは自分のことを「普通の人間」だと思っているの…

サイコパスの真実

現時点で日本にあるサイコパスに関する書籍の内、真に学術的と呼べるものは ジェームズ・ブレア 著「サイコパス -冷淡な脳-」 クリストファー・J・パトリック 著「サイコパシー・ハンドブック」 エイドリアン・レイン 著「暴力の解剖学」 くらいだろうか。 …

環境要因 -虐待・貧困・非行-

今回参考にするのは、鈴木大介 著「最貧困女子」だ。 珍しく、社会系の話になる。 この本は「最貧困女子」、すなわち3つの無縁(家族、地域、制度の無縁)と3つの障害(精神障害、発達障害、知的障害)といったリスクをより多く抱えた女性が、現行の福祉制度では…

寛容で衝動的で利己的なサイコパスの脳

「サイコパスは○○という領域が障害されている。」 という説明にも飽きてきた頃だと思う。 今回は、苧阪直之 編「報酬を期待する脳」を参考に、サイコパスに見られる主な障害領域である「眼窩前頭前皮質」と「内側前頭前皮質」と「扁桃体」の3つがどのような…

「成功したサイコパス」の解剖学

「成功したサイコパス」 随分と俗っぽい呼び名だが、本来は「過去に犯罪経験のあるものの、逮捕歴のないサイコパス」を指す言葉だ。逮捕されてしまった「成功していないサイコパス」との違いは何か、その興味がこの名前を生んだ。 ところが、僕らが一般的に…

手っ取り早く市販薬でサイコパスになる方法

ネタ枠です。 ある程度の根拠はありますが、効果を保証できるわけではありません。 僕の場合、その効果は絶大だったので紹介するに至ったワケです。 まあ始めましょう。 サイコパスになると言っても人を殺すワケではなく 科学のチカラを使って「高機能サイコ…

サイコパスに良く支配される方法

ニッコロ・マキャヴェッリは、読書を通して諸国の栄枯盛衰を知り、それから導き出される支配者の実践的知識として「君主論」を書いた。 これから僕は、「君主論」を通してサイコパスのマキャベリズムを語り、サイコパスに支配される方法を語ろうと思う。 「…

サイコパスの扱い方

前回の記事では、サイコパスが人を操る戦略について説明した。 今回はそれを踏まえ、相手がサイコパスだと確定した後の立ち回りについて解説する。まずは結論から紹介しよう。 サイコパスの扱い方 サイコパスに関する誤解をしない 相手の性格を正しく見極め…

人を操り支配する戦略と手法

人は誰しも、サイコパス的な特徴を示すことがある。 それは攻撃的かつ操作的なので、無意識に行わないよう注意を払うべきだ。 特に、自分は正しいとか良心的だと思っている人の操作はタチが悪い。 本当に良心的でありたいのであれば、この点にも気を配ろうと…

サイコパスとADHD

サイコパスとADHDは高率に合併する。 これまでに何度か紹介したジェームズ・ブレア 著「サイコパス -冷淡な脳-」によると、著者らが行った研究により、サイコパス傾向をもつ子供の75%がADHDを満たすことが分かっている。 そこで今回は、ADHDとサイコパスの関…

サイコパスの倫理

M.E.トーマス 著「ソシオパスの告白」は、ソシオパスの著者が書いた自伝だ。彼女は他者との違いをソシオパスという概念で説明がつくことに気が付き、ブログなどを通してソシオパスについて理解を深めている。この本から、彼らと一般的な人の考え方が大きく異…

サイコパスの二面性

サイコパスという言葉を聞いて、それを一面的な意味に捉える人は多い。 しかし、サイコパスには「第一因子・第二因子」と呼ばれる要素が存在する。 2018年5月、マイケル・ケーニッヒスらによる、犯罪者を対象としたサイコパスに関する研究が発表された。 成…

サイコパスと発達障害者

人間は、感情的な結びつきから社会を作り上げてきた。 「道徳的社会化」とは、罰学習による良心の形成過程だ。 ベルの音と同時に電気ショックが与えられたマウスはベルの音を恐れるようになる。これを「恐怖条件づけ」と呼ぶのだが、人間に見られる「怒られ…

サイコパスと人格障害

今回は、「サイコパスと人格障害の共通点・相違点」について説明する。 さらに「身近に潜むサイコパスの本質は何か」という考えも紹介する。 精神医学の世界にはDSMと呼ばれる、精神疾患に関する統計やマニュアルを記載した本が存在する。多くの精神科医がこ…

結局、サイコパスは「〇〇〇が欠如した人間」である。

「サイコパスって何?」と言われてもピンと来ない人は多いかもしれない。 これまでサイコパスについて語ってきたが、ここで一度考えをまとめてみよう。 解説の難易度は徐々に上がるので、適当なところで読むのを辞めてもらって構わない。 結論:サイコパスと…

サイコパス的リーダーは時代遅れ?

サイコパスにはリーダーの素質があると言われている。 サイコパスが多い職業ランキングでは、「CEO」が堂々の一位だ。 書店でも「感情的にならない」「いい人をやめる」といったサイコパス的な側面を推奨するビジネス書・自己啓発書が見られる時期があった。…