サイコパスを操作する

サイコパシーの理解から対策まで

感情のない?サイコパスの弱点 「傲慢・権威・孤独」

人は弱みを握ることで支配できる。

サイコパスに勝つ方法はそれだけだ。

 

サイコパスは相手が感情的になる事柄に弱みを見出し、それを利用し操作する。

コンプレックスとは、その人の感情と複雑に結びついた事象のことだ。たとえば「容姿コンプレックス」の人はイケメンや美女に対して卑屈になったり媚びたりするが、不細工な人に対しては攻撃的、傲慢な態度を取る、といった風に、複雑な感情的反応を示す。その人を操作しようと思えば、容姿についてさりげなく刺激してやればいい。相手は徐々に感情的になっていき、理性的な判断ができなくなる。

 

「刺激する」とは、その人の容姿を褒めたり貶したりするだけでなく、自分の容姿に意識を誘導し感情的にすることだ。化粧品のCMに美人モデルを起用するのはこのような理由もある。SNSに自撮りを載せる人もある意味「容姿コンプレックス」と言える。試しに「ブスだなお前」とリプライすれば、重症度に応じて様々な反応が見られるだろう。

 

さて、あなたは普段、このような人に対してどう振舞っているだろうか。もしあなたも「容姿コンプレックス」を持っていながら「自覚」していない場合、とても滑稽なやりとりをしているかもしれない。本心から「ブスだなお前」とリプライしてしまうような人が、まさにそうだ。

 

 

ところで、僕はネットビジネスの勧誘を受けてみたことがある。

30万円もする情報商材を普通の大学生に売りつける勧誘方法に興味があったからだ。彼らは普通の感覚ではありえない商品を売りつけるために、大学生のコンプレックスを巧みに利用していた。

 

「大学生は人生の夏休み」といわれるように、学生と社会人を足して割った曖昧な期間だ。多くの大学生は「遊びたい」という欲求と「社会人としての素養を積みたい」という欲求に板挟みになっている。彼らはそこに付け込んでくる。

 

「遊び呆けている大学生は愚かだ。」

「大学生の内は色々な経験をしておくべきだ。」

「僕のように学生をしながら月収何十万稼いでみたくないか?」

「僕らのグループには、君の周りの大学生とは違った魅力的な人がたくさんいる。とても刺激的で有意義な時間が過ごせるよ。」

などと言って、多くの大学生が抱くであろう「大学生活を如何に過ごすべきか」という問いに対して実に簡潔な答えを提示した。それは、向上心を持ちながらも燻っている「普通の大学生」に対するコンプレックスを刺激するものだった。

 

そして契約について興味を示したところで、その商材がいかに価値のあるものかを説き、30万円という金額を安いと思わせるように仕向けてきた。

 

具体的には、国立大学の授業料と学んでいる内容を尋ねてきた。実はそれがアンカー(比較基準)になっており、その団体で学べるノウハウ、儲けられる金額(言うまでもなく皮算用だが)を考えれば30万円という値段は比較的安いものだ、と説いたのだ。さらに契約には、収益の一部は「授業料」として組織の上部へ天引きされると記されていた。つまりそれは上層部が甘い蜜を吸うためのシステムだが、”授業料”をアンカーにすることでそういった違和感は払拭されてしまうのだ。(マルチ商法を知らない人にとっては)

 

僕が契約にサインしたとき、彼らはとても満足そうな顔をしていた。彼らの1勝だ。後日、あらかじめ決めていた通りクーリングオフをした。

しかし彼らは動じなかった。「最後に一つ聞いてほしい」と言われたのでグループ通話に参加すると、年収億越えを自称する幹部の講釈をありがたく聞かされた。(恐らくマニュアル通りに)そのとき、周りの取り巻きは幹部に媚びを売り、僕に対して「如何にこの幹部のお話を聞けることが素晴らしいか」を暗に示していた。

 

幹部の態度は妙によそよそしく、表面的には「俺も元々、お前みたいに挑戦することを恐れる人間だった」と優しい言葉を投げかけてはいたが、「契約しなければお前は俺のような人間にはなれない」というプレッシャーをかけ、”自分の人生がこの団体に入るか否かで決定する”という視野狭窄を起こすものだった。

 

これは教団が用いる洗脳のテクニックの一つで、「教祖と教団に対する絶対的な信頼によって自分は特別な存在になれる」という感覚を植え付けるものだ。意識高い系大学生に特有な「絶対者のような主張」の裏には、こうした信頼関係が糸を引いているかもしれない。ともかく僕は感銘を受けたような演技をしてクーリングオフを取り消し、改めて忠誠を誓った。 2勝目。

 

いよいよ彼らは、あたかも「ゲーム」に勝利したかのように感情的に舞い上がった。クーリングオフの期間は終了し、彼らは30万円を手に入れたようなものだったからだ。僕はそこに付け込み、30万円の情報商材を支払う前に手に入れ、団体のラインに入ることができた。そのために必要な信頼関係は、表面的には十分に築かれていたのだ。

 

最終的に、僕は法律を盾に使って契約を解除した。こうして勧誘の手法や金の流れ、情報商材の中身、団体の実態を無償で知ることができた。

 

この一連のできごとから、サイコパスを操作する上で重要なポイントを学べる。

彼らはコンプレックスを刺激するような言葉で冷静な判断力を削いでくる。感情的になりそうになったとき、その理由を客観的に観察してみるべきだ。あなたが初めに望んでいたこと(たとえば「契約にサインしないこと」)が、なぜ変わってしまったのか分析する(「普通の大学生」に対するコンプレックスを刺激されたから)。

 

このような冷静さを常に保っている人は、サイコパスとはいえ操作することは難しい。だが自分の弱み(コンプレックス)を自覚していなければ、いとも簡単に操られてしまう。そして「自分は騙されない」という根拠のない自信を持つ人ほど感情的になりやすく操りやすい。操作されていることに気が付いても「自分が騙されるはずはない」と認知を歪めてしまうからだ。

 

ところで、サイコパスは他人を操作することを楽しんでいる。

勝利を確信したとき、彼らはある意味感情的になっているのだ。まさか「自分が操られている」とは微塵も思っていない。これが考えうる1つ目の弱みだ。彼らにとっては敗者への手向けなのだろうが、仮にも30万円の情報商材やグループの実情を得るための隙が生まれた。操作されていることを自覚していれば、一方的に搾取されずトレードオフに持ち込むことができる。(法律を盾に使えば一方的に搾取することもできる)

 

単に傲慢な人間は、周囲の人が自分の望み通りに動くことを期待している。だがサイコパスは他人に期待せず、自分の手で周囲の人間を駒のように動かすことを愉しむ。そこで従順な駒を演じなければ、他の駒を使ってあなたを潰しにかかるだろう。

重要なことは、自分が操られていると相手に「思わせる」ことだ。あなたの意見を上司に通してもらいたいとき、その意見があたかも上司が思いついたかのように誘導することで要求を呑ませることができる。このように、相手が利用していると感じさせるほどシナリオ通りの展開にもっていきやすくなる。それが不愉快だと感じる人は、まさにそれがコンプレックスであり「カモ」の証拠だと自覚しよう。

 

 

第二に、彼らは幹部に媚びを売っていた

サイコパスは権威に対して従順だ。エーリッヒ・フロムの著書「自由からの逃走」にもあるように、権威主義的な人は格下に対してはサディスティックだが、格上の権威に対してはマゾヒスティックな態度を示す。ヒトラーでさえ、神・自然・運命といった「権力」には従順だった)権威に対する憧れが強く、権力に飢え、直属の権威に対して媚びを売る。

これをコンプレックスと捉えることができる。サイコパス上司のさらに上司を味方につけ、その人の威を借りるだけであなたの言葉の説得力が増すかもしれない。また、「私の意見を聞くことが昇進に貢献するだろう」と仄めかす手もある。いくらでも手はあるが、あくまでも「味方」の立場からコンプレックスを刺激することを忘れないように。厳密には、彼らは権力のある「人」に従順なのではなく、「権力」自体を信仰しているのだ。大抵の場合はその人間を尊敬しているわけではないので、あまり買いかぶり過ぎると立場が逆転したときに復讐されてしまうだろう。

 

最後に、「人を操る」という行為自体に弱みを見出すこともできる

「人を操る」という行為はとても幼稚だ。他者を他者として尊敬する心がないのだ。自己の利益を最優先し、他人を捨て駒のように扱うため深い結びつきを形成できない。それゆえサイコパス孤独感や退屈さ、喪失感を感じることが多い。

この兆候が表れているサイコパスは、「誰かを愛する」ということに興味を抱くようになる。そのため、「愛している」「愛されたい」という態度ではなく、「愛してみろ」という態度をとることでコンプレックスを刺激できる。

 

大抵のサイコパスは現在の自分に満足しているが、精神的に不安定なサイコパスが相手なら言葉巧みに彼の未来や無力さを暗示し、根拠の無い自信を砕きながらあなたが唯一の味方だと思わせることで、尊敬をもって接する努力を促すことができる。

誰にでも言えることだが、「好意」が最も人を動かすエネルギーになるのだ。そこで初めてノーリスクで彼らと接することができる。この点を理解せず、尊敬の念をもたせないまま関わった人は都合よく利用されたり、刃向かって痛い目にあってしまう。

 

巧妙なサイコパスは、こういった弱点をトラップにすることで繊細な人間を操作する。「本当は孤独なんだ・・・」と泣き落とすことで同情を誘い、より強い結びつきを再構成する。彼らの嘘は強烈だ。泣き落としの演技は朝飯前で、自分が本当に哀れな人間だと本人が信じ切ってしまうほどだ。これはDVやモラハラをするサイコパスによく見られる。無論、嘘は嘘なので、彼らに対する共感や良心は必要ない。

 

こういった点は、彼らの自己愛と絡めて理解すると興味深い。

psycom.hatenadiary.jp

 

参考

自由からの逃走 新版

自由からの逃走 新版