YoutuberヒカルのVALU騒動 正直者は馬鹿を見る?

「正直者は馬鹿を見る。」

世の中には他人を騙して利益を得ようとする人間が一定数いるので、この言葉は慣用句になるほど浸透している。しかしこの言葉は「馬鹿になりたくなければ、正直者にはなるな」という意味ではないはずだ。

 

最近「ヒカル」と「VALU」という単語をよく聞く。

ヒカルはどういう人物で、VALUとは何だろう。

そして彼に騙されたのはどんな人達だろう。

順に説明していこう。

ヒカル:「正直者が馬鹿をみると理解した、正直者を装った嘘つき」

彼は、世の中には「汚い大人」がいることを理解している。そして、例の屋台のくじ引き動画のように「汚い大人」を制裁し、その存在を世間に知らしめることで視聴者に彼が「正直者」であるかのような印象を与えた。このような印象操作がなされたため、「個人の信頼や価値」に基づいて投資が行われるVALUでは彼に大金が集まった。そのタイミングで彼は故意に信頼を裏切り、「正直者を装った嘘つき」であることを明かす形で個人的な利益をあげた。

 

VALU:「正直者が馬鹿を見る、正直者を装った嘘のシステム」

VALUは「個人の価値をトレードする」という名目で行われているサービスだ。株式投資のように"VALUER(株主)"や "優待"といったシステムがあるが、当時の実態はむしろ献金、あるいはクラウドファンディングに近かった。そのため、ヒカルのような「売り逃げ」によって正直者が馬鹿を見るような、名目とは異なった利用がなされる嘘のシステムだった。

 

騙された人:「自分を正直者だと思っている、嘘の動機で動く馬鹿者」

当時のVALUは、有名人が一般人から一方的に金を吸い上げるためのツールでしかなかった。にもかかわらず、その実態を見抜けなかったヒカルのファンは「個人の価値に投資する」という大義名分を掲げて「新しい流行」や「安易な営利目的」のような嘘の動機で投資(献金)を行い、まんまと騙されてしまった。本当の投資家であれば自分の見る目が無かったことを悔やむはずが、揃いもそろって怒りの声を上げている馬鹿者ばかりだ。個人の信頼がいかに簡単に裏切られるかがよく分かる事件だった。

 

もしくは...「正直者が馬鹿を見ると理解した、馬鹿を見ない正直者」

一方、ヒカルという人物やVALUのシステムをよく理解した上で、あえて投資を行っていた人もいるはずだ。彼らは結果的に騙されたにせよ、他者や流行に乗せられた上の人とは違って"自らの意思"でそれを決断している。世の中には人を騙す人間がいることを知りながらも、他人を信頼することを忘れていない人間だ。彼らはヒカルという人物を”信頼”こそせよ、その人に個人的な利益を”期待”することはない。そして、裏切られたときに「そうこなくっちゃ」と笑い話にできるほどの淑やかさがある。

 

 

世の中にはサイコパスのように「汚い大人」は確かに存在する。しかし誰かを疑うことはあまりにも簡単すぎるし、誰とも信頼を結べないことは惨めだ。一方で信頼が裏切られたとき、その人を「汚い人間だ」と呼びたくなったなら、それはあなたの心に「汚い期待」が潜んでいたからだ。ある人を信頼しながらも、利己的な期待をその人にまで乗せないようにすることで、どんな人でもありのままに受け入れられるようになる。僕らはサイコパスを操作する前に、このような柔軟な姿勢をもっておく必要がある。

 

人間は信頼を裏切る生き物だ。どれだけ信頼を置けそうな人でも、状況によって必ず裏切りは生じる。誰かを信頼するという行為自体が投資であり、リスキーなゲームであることを理解しておきたい。