サイコパスを操作する

サイコパスから学ぶ

信頼はなぜ裏切られるのか。 ~信頼できない人を利用する方法~

今回は信頼がなぜ裏切られるかを説明し、サイコパスとの信頼関係について考察する。まずは「信頼」という言葉について詳しく見ていこう。

 

「信頼はなぜ裏切られるのか」の著者デイヴィット・デステノは、信頼を構成する要素には「誠実さ」と「能力」の2つがあるという。

僕らは二人のうち一人を信頼しなければならないとき、どちらがより「誠実で有能か」を判断基準にしているということだ。 

嘘つきが信頼できないということは自明だ。しかし、どれほど誠実そうでも、自分のガンの手術を無能な友人に任せる人はいない。意外にも、能力もまた信頼の問題にかかわっているということだ。

誠実さと能力を高めることで、信頼できる人だと思わせることができる。。

 

この事実は僕らが日常的に「信頼」しているものすべてに当てはまる。

科学技術や宗教についても同様に、それが信頼に値するか否かは「誠実さ」と「能力」によって判断されている。これは「MRI効果」と呼ばれる人間のバイアスにもかかわっている。医者にMRIの写真を見せられたとき、「脳のこの領域が光っていますね、あなたは〇〇症の疑いがあります。」と言われると説得力が増すというものだ。僕らはMRIという科学技術に対して、機械は人間のように嘘をつかないという「誠実さ」、科学的に裏付けられた「能力」があると思い込み、その情報を無条件に信頼してしまう。

信頼できる相手(MRI)であっても、情報自体(診断結果)が正しいとは限らない。

 

ここで個人間の信頼に話を戻そう。個人間の信頼において、その人自身の信頼度を当てにするべきではない。状況が変わればその人の誠実さや能力も変わるからだ。その一つの例が、権力や財力を持つと不誠実になりやすいという事実だ。(しかも、お金を目の前にするだけで嘘をつくのが上手くなるという研究結果まである)

僕らが当てにすべきものは「彼自身の信頼度」ではなく、「“現在の状況で” 彼は信頼できるかどうか」である。昨日の友は今日の敵かもしれない。

これは、自分自身との信頼関係に置き換えて考えても分かりやすい。「家に帰ったら勉強をしよう」と思っていても、いざ家に帰るとテレビを見てしまったりするものだ。信頼が裏切られるかどうかは、自分の信頼度ではなく、環境の変化が直接原因になっていると分かる。


ところでこの例は、信頼を守るということが「長期的な利益を取るか短期的な利益を取るかの葛藤」と言い換えられることを示唆している。勉強をした方が長期的には利益があるにも関わらず、テレビを見るという短期的な利益を優先させてしまったために信頼が裏切られたということである。

 

ここからは個人的な考察となる。

信頼関係は長期的な利益を見込んだ関係だ。

そのため、「彼の“予想される状況”は、短期的な利益による誘惑が多いかどうか」で彼に対する信頼度を測るべきだ。

たとえば多くの親は受験生の子供に対して勉強に関する信頼を抱く。長期的には勉強がその子供にとっての利益となるからだ。しかし彼が「誠実」であれ「有能」であれ、短期的な利益(誘惑)が多いほど裏切る可能性が高くなる。そのときに親が「不真面目な子だ」とか言うべきではないのである。上記の科学的事実を知った僕らは「状況が彼を裏切らせた」と捉えるべきであり、彼の誠実さや能力を批判するよりも状況(環境)を変える方が生産的なアプローチになると考えられるはずだ。

これは自分自身にも当てはまる。「家に帰ったら勉強しよう」と思ったとき、自分の家はどれほどの短期的な利益に囲まれているかを考えるのだ。そうすれば未来の自分は信頼に足らないと容易に分かる。そこで図書館やカフェに行くなどすることで信頼関係が維持されるのである。また、勉強によって得られる利益が時間的に遠いほど誘惑に釣られやすくなるため、「1時間勉強したらケーキを食べる」といった風に、明確に小さなゴールを設定することで信頼を保つことができる。

自分や他人と何かを約束するときには、未来の状況と感情を考慮する必要があるのだ。

 

これらの考察をサイコパスの操作に応用しよう。

サイコパスは基本的に短期的な利益を優先する衝動的な性格をもつ。したがって、多くの人はサイコパスを信頼に足らない人物だと感じるだろう。しかし僕らはいま「状況を変える」ことである程度幅を利かせられると学んだ。つまり、誘惑のない状況に落とし込み、報酬を出来るだけ早く設定することで約束を守らせる可能性が高くなる。サイコパスはある目的に従って行動するときには凄まじい集中力と合理的な思考力で目的を達成してくれる。

 

彼らが裏切ること利用して僕らが利益を得られるように罠を仕組むこともできる。短期的な利益を仄めかし、約束を破ったことによる罰則で長期的な利益を得る方法だ。サイコパスはアメとムチでいう"ムチ"に対する恐怖心が欠如している。そのため、罰則を恐れず平気で約束を破ってくる可能性がとても高い。彼らにとって口約束は何の意味もない。必ず契約の形を取るか、証拠を残しておこう。

たとえば携帯会社は、ある機種を2年契約で行っている。1年ごとに更新される新機種という誘惑に飛びついた人から「違約金」として利益を得られるからだ。また、露出的な服装で電車に乗り、痴漢をさせて示談金を巻き上げる方法とも似ている。信頼が使い物にならない状況では、裏切りが利用できるということだ。

 

【まとめ】

  1. 「誠実さ」「有能さ」によって信頼度が上がる。
  2. 信頼は状況によって裏切られる。
  3. 状況を変えることで信頼関係を操作できる。

 

信頼はなぜ裏切られるのか―無意識の科学が明かす真実

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