サイコパスを操作する

Twitter: @KranGeist

サイコパスの扱い方

 

前回の記事では、サイコパスが人を操る戦略について説明した。

今回はそれを踏まえ、サイコパスの扱い方について解説しよう。

 

前半は心構えについて、後半は具体的な対処法について述べる。

  1. サイコパスに関する誤解をしない
  2. 相手の性格を正しく見極める
  3. 自分を知り尽くし、弱点を把握する
  4. 相手の手口に相応しい方法で対処する
  5. 「負け戦」には手を出さない。 

 

サイコパスに関する誤解をしない

あなたの人間観が脆弱なら、それは弱みになる。

特に、「基本的に人は同じだ」という思い込みは致命的だ。どんな人間にも愛情を求める欲求や良心が備わっており、自分の行動に責任をもち、他人を傷つければ罪悪感を感じるものだと ”誤解” してはいけない。

 

これらが欠如した人間こそ、サイコパスである。

サイコパスにとって、情緒的なやりとりなど都合のいいジョークに過ぎない。サイコパス本人がそう言っているのだから間違いない (「ソシオパスの告白」を参照)。

 

ハーヴェイ・クレックレー曰く、「サイコパスは言葉の意味を知っているが、その”響き”を知らない」。「愛してる」「ごめんなさい」「ありがとう」といった言葉を伝えることで、相手がどんな反応をし、自分にどんな得があるのかをサイコパスは熟知しているが、「好き」「申し訳ない」「ありがたい」という感覚がどんなものであるかを知らないのである。

 

サイコパスと対峙した人は、彼の言動に戸惑うだろう。というのも、さっきまで言っていたことがまるで嘘だったかのように振る舞うからだ。そして実際、彼の言葉は常に嘘といえるほど空虚である。

 

このような困惑は、「基本的に人は同じだ」という私たちの”誤解”から生じる。

 

相手の性格を見極める

まずは心構えについて述べた。

次に彼が普段、どのように他者と関わっているのか観察しよう。そこから相手がサイコパスっぽいかどうかを判断することができる。

 

「自分の意見を押し通す」

「つねに勝利を考える」

「優位な地位に立とうとする」

「相手に”ノー”と言わせない」

「単刀直入な質問にきちんと答えない」

「悪意に満ちた行為をしながら言い訳をする」

「罪悪感を刺激する」

「自分の思い通りにしようとする」

 

これらの行動が顕著なほど、サイコパシーは高いといえる。

自分がどんな人間を相手にしているのかよく理解しておこう。

 

自分の性格を熟知する

サイコパスはどのようにあなたを操作するだろうか。

実は、「あなたの性格」に関する知識をフルに動員している。

 

先ほども述べたように、彼らは自分の言葉によって相手がどう反応するのかを熟知している。であれば、あなたも自分自身について熟知し、弱点を克服しておく必要がある。その際には、次の5つの性格を考慮するといい。これらはいずれも、サイコパスのターゲットとして選ばれやすい性格だ。(青字は弱点を表す)

 

  1. 過剰に信用する

サイコパスから攻撃を受けていると気づきながら、「相手はそんな人間であるはずがない」と自分の中で”否認”してしまうタイプ。相手の本性が狡猾で悪質であるという証拠をどれだけ見せつけられても、それを認めようとしない。そして、繰り返し痛い目に遭っている。

 

 

  1. 過剰に責任感がある

自分に対して厳しすぎるタイプ。「疑わしきは罰せず」とばかりに、墓穴を掘ってしまう。傷つけられても相手の立場を斟酌するばかりで、どれほど自分が追い込まれても、原因はこちらにあると自分を責めてしまう。

 

 

  1. 自信に乏しい

普段から人と関わる際、手際よく問題を解決する能力に対して自信がないタイプ。好戦的な人物に挑まれると、自己主張を早々に放棄してしまう。相手のなすがままにされ、その経験がさらなる自信の喪失に繋がっている。

 

 

  1. 過剰に理屈っぽい

「相手が自分にこんな仕打ちをするのは、それなりの理由があるからだ」と考えるタイプ。当然、それらしい理由を見つけることはできるだろう。しかし、あなたが攻撃されているという事実は何も変わらない。彼は単純に、自分の欲望を満たすためにあなたを攻撃しているだけということを認めようとしない。

 

  1. 依存的

服従的で、ひとりで主体的に行動することに恐怖を感じるタイプ。自信に満ち溢れる者、独立心旺盛な者、相手の好戦的な性格に最初から惹かれているのかもしれない。関係が深まるにつれ、見捨てられるのを恐れるあまり、相手の言いなりになってしまう。

 

 

相手の手口に対処する

これについては、後で詳しく説明する。

その前に、たとえどんな手口で攻撃してこようとも、死守すべきルールがある。

 

それは、「動揺してはならない」ということだ。感情的になっては相手の思う壺だ。そして感情的に行動した自分を恨み、後悔するだろう。

 

つねに自分が正しいと思える対応を心掛るべきである。感情的になってはいけないとはいえ、受動的になりすぎてもいけない。たじろがずに自己主張する必要がある。

 

 

負け試合には手を出さない

負け試合とは、「相手を変えようとすること」だ。サイコパスを変えることなどできない。それに固執し続ければ、最後には避けようのない怒りが待っているだろう。

 

そうした人は心の安定を失い、自分を律する気力さえも無くしてしまう。

 

 

具体的な対処方法

ここまでは、サイコパスと対峙する上での心構えを話した。

次に、具体的なかかわり方について説明しよう。

 

言い訳を聞き入れない

不適切な行動に対する言い訳を許してはならない。その行動があなたに害を及ぼすものなら、どんな理屈であろうと不適切なものに変わりはない。

 

相手が言い訳を口にする理由はただ一つ、今の支配的な立場に固執しているからだ。そして、そのような立場に固執すること自体がそもそも誤りである。

 

したがって、「言い訳をする権利は認めるにせよ、聞く耳はいっさい持たないし、自分の考えを変えるつもりもない。」ということを知らしめる必要がある。

 

意図ではなく行動で判断する

相手の行為に対して「なぜこんな仕打ちをするのだろう」と深読みしてはいけない。相手の真意など知る由もないし、行為として不適切なことに変わりはない。

 

特に重要なのは、あなたがそのように考えを巡らせることによって「肝心の問題」から注意が逸らされてしまうということだ。彼の意図に納得したところで、あなたに危害が及んでいる現実は変わらない。

 

相手の意図によっては許してやろうなどと考える人は、サイコパスにとってカモでしかない。端的に「その行動をやめて欲しい」と伝えることが重要だ。

 

個人的な限界を設ける

「相手の行動をどこまで許容すべきか」という限界を定めよう。

サイコパスは、あなたが関係を切ろうとすれば何かと説得してくるはずだ。そして、あなたは何度も説得されてしまう。そして、その選択を後悔する。この悪循環を断ち切るためには、あらかじめ限界を定めておくほかない。

 

「このラインを越えたら関係を切る」と事前に決めておき、事態の泥沼化を防ごう。その意思を貫き通せば、後悔などするはずがない。

 

はっきりと要求する

頼み事をするときは、自分が何を望んでいるのかをはっきりと相手に伝える。

「私は○○してほしい」「これ以上私に○○するのはやめて欲しい」という風に、必ず「私」を主語にして語り、曖昧な言い方を避けよう。

 

これにより、次の効果を期待できる。

第一に、相手から曲解(あるいは意図的に誤解)される余地が減る。

第二に、ダイレクトな要求に対して曖昧な答えが返ってきた場合、こちらに対して攻撃の最中であり、協力を拒んでいると知ることができる。

 

 

ダイレクトな返事だけを受け入れる

はっきりと要求したら、相手もダイレクトな返事をするように促す。

誤魔化してきた場合にはもう一度尋ねよう。

 

その際、けんか腰や威嚇的な調子ではなく、「自分にとって重要な問題であり、ただちに対処すべきものだ」と敬意をもって主張する必要がある。

 

責任を突きつける

不適切な行為を問いただしたとき、サイコパスはこちらに責任転嫁をしてくるだろう。そこで注意を逸らされてはいけない。

 

あなたが被害を被った行動そのものに注意を集中しよう。

肝心な問題は、その行為に至った理由や意図といった「過去」ではない。その行為を正すために「彼が何をするのか」ということだ。その具体的な答えを要求し続ける。「あなたはいつもそうだ」などと、彼の人格を否定してはいけない。

 

あなたはもはや、過去の彼の行為に対して憎しみや怒りなど感じる必要はない。相手の行動がどう変化するのか。ただそれだけに集中すればいい。

 

露骨な非難は避ける

サイコパスは、攻撃を仕掛ける口実探しに余念がない。自分に向けられたいかなる敵意も”攻撃”と受け止め、それに応戦することは正しいとさえ感じている。

 

サイコパスに対して怖気づく必要はないが、率直になりすぎて攻撃的になってはいけないし、そう思われてもいけない

 

彼の人格を否定したくもなるだろうが、そんなことをしても事態は悪化するだけだ。相手が誰であれ敬意をもって接することを心がけよう。

 

Win-Winを目指す

 

最終的にはお互いが納得できる win-win な合意を目指そう。そして、お互いが約束を守るために最善を尽くすということを認めさせなければならない。

 

「お互いに有益な状況を目指す」ことは非常に重要だ。というのも、自己利益が行動原理であるサイコパスと建設的な関係を結ぶためには、この手段しかないからである。

 

当然、それが見込めない相手とは関係を切った方がよいだろう。

 

 

あなたの中のサイコパス 

以上が「サイコパスの扱い方」だが、普段のコミュニケーションでも重要なことが多かったかと思う。

 

ところで、前回の冒頭で「誰しもサイコパスになる時がある」と言ったように、感情的な人間でさえ、これまで紹介したサイコパスの手口を無意識的に利用していることがある。

 

私はサイコパスについて知れば知るほど、誰もが多少のサイコパシーをもっていると思うようになった。そして、この確信が強まるほど、他人の言動に対して怒りを感じなくなったのだ。

 

実際、私は他人からどんな仕打ちを受けようと「まあ、そういうも時ある」と冷めた目で見ることができる。もちろん、その仕打ちに対して”然るべき処置”はとるのだが。

 

そういうわけで、まずは自分の中に潜むサイコパシーを自覚することが重要だと私は考える。コレを上手く扱えるようになれば、他人の言動に対して動揺することはなくなるはずだ。

 

そして、あなた自身にもサイコパシーがあると率直に認められたとき、はじめて彼らとWin-Winな関係」を結ぶことができるようになるだろう。

 

 

 

参考

 

文庫 他人を支配したがる人たち (草思社文庫)

文庫 他人を支配したがる人たち (草思社文庫)

 

 

 

ソシオパスの告白

ソシオパスの告白