サイコパスを操作する

サイコパスから学ぶ

超訳「サイコパス -冷淡な脳-」 ”サイコパスの神経学的仮説”

 

この章ではついに、「サイコパスはなぜ情動障害をもち、道具的攻撃性を示すのか」を説明する。この章は難しい上に長いので、はじめに簡単な結論を示しておく。

 

サイコパスは遺伝子異常によって、不快な刺激に対する扁桃体の反応性が低下するため反社会的行動を手段として学習し、社会化が阻害される。

 

しかし、この説明は簡単すぎて誤解を招くうえ、因果関係が明らかではない。なぜ扁桃体の異常が道具的攻撃性の学習につながるのだろう。

 

これより先では、この点について詳細な説明をしていく。

 

 

統合的情動システム(IES)モデル

そもそも情動とは何か。

それは脳内でどのように生まれ、処理されるのだろう。

 

扁桃体は恐怖などの情動を司る」という説明を聞いたことがあるかもしれない。しかし、扁桃体が「恐怖情動を生成→処理」という全てを行うはずもなく、複数の領域が互いに関与している。現時点でもっとも有力な情動モデルは「統合的情動システム(IES)モデル」と呼ばれるものである。これを次に示す。

 

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この図を落ち着いて眺めてみると、①、②、③のルートが描かれている。

まずは①のルートを見てみよう。

 

SCは「感覚連合皮質」であり、あらゆる五感情報がここで統合される。

 

あなたが恐怖を経験するためには、まず恐ろしいものを「見たり」「聞いたり」する必要がある。そのような五感情報がSCに集積する。しかし、この時点で”恐ろしい”という感情は生まれていない。ただ単純に、これから先で「恐怖」と認識されるような何かを「見たり」「聞いたり」しただけである。

 

続いて、SCの五感情報はBLAとCeNに送られる。

重要なことに、扁桃体は大きく「外側基底核(BLA)」「中心核(CeN)」に分けられる。①のルートにおいて、BLAおよびCeNは、SCと双方向の連絡をとっている。

 

そのため扁桃体「感覚形成の調節機能」をもつと考えられる。つまり、扁桃体に送られた五感情報はここでようやく”恐ろしい刺激”というラベルが貼られ、処理が開始する(詳しくは後述)。

 

 

次に②のルートを見てみよう。

①からやってきた感覚情報がCeNに送られ、②のルートでURが引き起こされている。

 

URとは「無条件反応」のことであり、恐怖でいえば「すくみ反応」や「心拍数の増加」などがそうである。ここでも省略されているが、脳幹や視床下部という領域がURを引き起こす。

 

いわばCeNは「”恐ろしいもの”を見たので、心拍数を上げてください」という命令を脳幹などに送る。このような恐怖の感覚情報に基づいた身体状態の変化こそ「恐怖情動」と呼ばれるものだ。

 

恐怖情動は発汗や心拍数増加などの”身体状態の変化”を伴う。これを知覚したとき、僕らは「恐怖の感情」(=”恐ろしい”というあの感じ) を経験する。

 

このルートからは、CeNが「内臓機能を調節する機能」をもつと考えられる。

 

 

最後に③のルートを見てみよう。

vmFCとは「腹内側前頭前皮質」のことで、おなじみ「内側部」の一部だ。

 

ある目的の為に行動する「目的志向行動」には、これらの領域が関与する。そして扁桃体のうちBLAは、vmFCと直接の連絡をもっている。したがってこのルートからは、「BLAが目的志向行動に影響を及ぼす」ということが分かる。

 

 

まとめると、扁桃体はBLAとCeNに分けられ、「感覚形成の調節」にはBLAとCeNが、「内臓機能の調節」にはCeNが、「目的志向行動」にはBLAが直接関与する。

 

 

扁桃体の学習機能

「嫌悪条件づけ」とは、条件刺激(CS)無条件反応(UR)を引き出すように学習する過程のことだ。具体例で考えてみよう。

 

マウスに電気ショックを与えると、マウスはその場から逃げようとする。一方、ブザー音の直後に電気ショックを与えると、そのマウスはブザー音を聞いただけで身体をこわばらせ「すくみ反応」を示すようになる。

 

このように、本来「恐怖」とは無関係な刺激(条件刺激)によって「恐怖」の反応(無条件反応)を引き出すように学習させることを「嫌悪条件づけ」と呼ぶ。

 

ここでブザー音は条件刺激(CS)電気ショックが無条件刺激(US)逃避行動は無条件反応(UR)である。(すくみ反応については後述)

 

 

さて、扁桃体は嫌悪条件づけにおいて3つ連関を形成する。すなわち、

Ⅰ:CS - UR連関にはCeN

Ⅱ:CS - 感情表象連関にはBLA

Ⅲ:CS - US連関にはBLAが必要である。

 

 

ここでもう一度、IESモデルを見てみよう。

 

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CSの五感情報はSCに集積し、①のルートでBLAあるいはCeNに情報が伝達され、最終的にURが起こる。このうち、「CS→SC→CeN→UR」「CS-UR連関」による条件づけである。

 

たとえばお腹の空いた犬は、エサを提示されるとヨダレを垂らす。そしてエサの提示と同時にベルの音を聴かせると、犬はベルの音(CS)を聴いただけでヨダレを垂らす(UR)ようになる。これが、CeNによるCS-UR連関形成である。

 

ちなみにこの連関は扁桃体を介して形成されるものの、連関自体は島に蓄積すると考えられている。つまり、一度CS-UR連関を形成してしまえば(ベルの音で唾液が分泌されるよう条件づければ)、その後に扁桃体を破壊しても条件づけは維持される。

 

 

一方、「CS→SC→BLA→CeN→UR」のルートでは、BLAの登場により「CS - 感情表象連関」が可能となる。感情表象とは、刺激に対する情動状態のラベル(恐怖や報酬期待など)のことだ。

 

平たく言うと、条件づけされたマウスは「ブザー音 = 恐ろしいもの」と認識していたので「すくみ反応」を示したのである。通常、電気ショックに対するマウスのURは「逃避反応」なので、CS-URとCS-感情表象は異なる反応を引き出すという点でハッキリと弁別できる。

 

したがって、マウスがブザー音によって逃避反応を示せばⅠのルートで、すくみ反応を示せばⅡのルートで条件づけが行われたことになる。

 

実際、BLAを損傷したマウスはCS-感情表象連関が形成されず、それに関与する特定の課題において障害を示す。一方、CS-UR連関は正常のままである。

 

 

サイコパスは有毒ガスの臭い(US)と中立顔(CS)を対提示した後でも、CSによる皮膚電気反応が起こらない。

 

これは、CS-UR連関あるいはCS-感情表象連関の機能不全なので、サイコパス扁桃体の機能不全を有することを示している。

 

また悲しみの表情想像上の恐怖場面恐怖予測情動を喚起する音声などのCSに対しても自律神経の反応性が低い。

 

このあたりの嫌悪条件づけ理論については、今後詳しく紹介していこう。

 

 

扁桃体と刺激選択バイアス(注意)

”注意”とは、複数の刺激が存在するときに起こる、互いの表象をめぐる競争の結果であると考えられている。

 

たとえば、今ここにAとBの絵があるとしよう。実験者から「Aの絵を見てください」と指示された場合、あなたはAに注意を向けることができる。これは、課題要求に応じてAの表象を強化したからである。このように、課題要求は感覚表象を強化するトップダウンの影響として注意に関与する。

 

一方、課題要求がなくともAの絵それ自体が情動を喚起するものである場合には、中立的なBの絵よりもAに自然と注意を向けてしまう。このように、”刺激の強さ”は感覚表象を強化するボトムアップの影響として注意に関与する。

 

 したがって、複数ある刺激のうち、どの刺激に注意が向けられるかはトップダウンボトムアップの二つの影響により決定される。

 

 

ここで、情動と注意に関するIESモデルを見てみよう。

 

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側頭皮質には2つのドット(感覚表象)が存在し、それらは互いに競合状態(-)にある。この競合に勝利した方の表象に注意が向けられる。

 

課題要求(左のドットを見ろという指示)はACC(前帯状皮質)DLPFC(背外側前頭前皮質)で処理され、側頭皮質において左のドットに対応する表象を強化するようなトップダウンの影響を及ぼし、左のドットが競合に有利となる状態をつくっている。

 

一方で扁桃体は、右のドットに対してボトムアップの影響を及ぼし、対応する表象が強化されている。つまり、右のドットは情動的な刺激を表している。

 

この図では最終的に左のドットが競合に勝ち、課題要求された反応が運動系により引き起こされたことが分かる。

 

 

具体的にイメージするため、次の課題を行ってみよう。

 

課題:下の絵の中から真顔を見つけたら、次の文を読んでください。

 

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右下以外のヘンテコな絵は妨害刺激である。これらは真顔と比べて”刺激の強い”もの、すなわち扁桃体からのボトムアップ的な影響を受け、感覚表象が強化されるような絵である(右のドットと呼んでいたもの)。

 

一方、課題要求は真顔に注意を向けることだったので、あなたのACCとDLPFCは真顔の感覚表象をトップダウン的に強化し、真顔の表象を他の絵との競合に勝利させようとする(左のドットを競合に勝たせ、要求された反応を引き出す)。

 

それに成功したあなたは、課題要求に対応する反応として運動系を用いて画面をスクロールし、今この文章を読んでいるのである。

 

 

さて、この例からは扁桃体「情動的な刺激の表象を強化する(注意を向けやすくする)機能」を持つことも分かった。

 

実際、サイコパスは情動的な刺激によるボトムアップの影響を受けにくいことが示されており、このことは扁桃体機能不全仮説を支持する。

 

 

扁桃体と道具的学習

 「受動回避学習」と呼ばれる課題がある。受動回避学習では、ある刺激に反応すれば報酬が得られ、別の刺激に反応すれば罰を受ける。(報酬の”ために”反応したり、罰を回避する”ために”反応しない、という道具的な学習)

 

たとえば明室と暗室を用意しておき、マウスが暗室に入ると電気ショックを与える。そのうちマウスは「暗室=不快なもの」というCS-感情表象連関を形成し、暗室へ入ることを受動的に回避する。

 

このように、ある刺激に対して”良い”あるいは”悪い”というラベルを貼るにはBLAが必要であり、扁桃体損傷は受動回避学習を阻害する。

 

 

一方で、別の道具的学習に「条件付き学習課題」がある。条件付き学習課題では、ある特定の刺激に対して特定の運動反応を実行する学習である(たとえば、緑の光が点灯すれば左のボタン、赤の光が点灯すれば右のボタンを押す、といった風に)。

 

この課題では、受動回避学習とは対照的に「緑の光=”良い”」や「赤い光=”悪い”」などのラベルは貼られない。なぜなら、報酬を得るか罰を受けるかはその人の”反応”によって決まるからである。

 

この課題では、「緑の光→左のボタンを押す」「赤い光→右のボタンを押す」というように、「刺激-反応連関」と呼ばれる扁桃体を必要としない連関が形成される。したがって扁桃体損傷はこの課題を阻害しない。

 

 

扁桃体機能不全仮説をもとに考えた場合、このようなデータから、サイコパスは「受動回避学習」で障害を示し「条件付き学習課題」では障害を示さないと予想できる。そして実際、そのような結果が得られている。

 

ここまでが、サイコパスの情動障害と情動学習障害の説明となる。最後に、現実に即した形でサイコパスの道具的攻撃性を説明してみよう。

 

扁桃体機能不全仮説:道徳的社会化

IESモデルを用いて暴力を抑制するメカニズムを示すと、次のようになる。

 

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一般に、他者の苦痛や恐怖などの嫌悪刺激(US)を知覚すると「こわばり、逃避行動、反応的攻撃+覚醒度の上昇(UR)が生じる(戦争の様子を想像してみるといい。確かにこのような反応が起こりそうだ)。

 

さらに健常者の場合、「道徳違反(CS)と他者の苦痛(US)の連関」が可能であり、道徳違反をみたり考えたりするとURが起こるように条件づけられる。さらには「道徳違反="悪”」というCS-感情表象連関も道徳観の形成に関与する。

 

これが、健常者が暴力を控えるメカニズム(道徳的社会化)である。しかし、扁桃体機能不全を有するサイコパスはこれらの嫌悪条件づけが起こらず道徳的社会化を経験しないため、反社会的行動が抑制されない。

 

 

ちなみに反社会的行動をとった子供に体罰を行う家庭では、その意図に反して「身体的苦痛(US)と反社会的行動(CS)との連関」は形成されない。むしろ「身体的苦痛(US)と体罰を行う親(CS)との連関」が形成されてしまう。

 

非行少年は体罰を受けるかもしれないが、それによって反社会的行動は抑制されない。むしろ「親-体罰-不快」という連関が形成されるだけである。(要するに嫌われる)

 

 

反社会的行動を行うときに無条件嫌悪刺激(US)となるのは「犠牲者の苦痛」ある。つまり健常者は、反社会的行動を企図したり実行したとき、他者の苦痛によって”罰せられる”のだ(罪悪感)。

 

しかし、サイコパスでは「他者の悲しみや恐怖の表情」が嫌悪刺激として作用しない。さらには幼少期から表情認知能力に障害が見られる。

 

反社会性を低める方法のひとつは「犠牲者に対する共感性を高めること」であるが、養育者が共感性をうまく引き出すような方法をとっても、サイコパスの情動的機能不全を示す子供に対しては、そうした効果がみられない。

 

これが、サイコパスは”治らない”と言われる所以である。

 

 

扁桃体機能不全仮説の限界

本書の考えをまとめると、次のようになる。

 

サイコパスは、扁桃体によってなされる感情表象の活性化が障害されているために、反応性あるいは学習が低下している。感情表象は、他者の恐怖や嫌悪によって活性化される。

 

これらの表象に対する反応性が低下することにより道徳的社会化が妨げられ、結果として、自分の目標達成の手段として反社会的行動を学習する危険性の高い者となる。

 

この仮説により「良心の欠如」はもちろん、「共感性の欠如」や「罪悪感の欠如」「恐怖・不安の欠如」などの”情動障害”と呼ばれる臨床的特徴、また道具的攻撃性の神経メカニズムを合理的に説明できる。

 

 

しかし次のようなデータから、この仮説をある程度”限定”する必要性が示される。

 

CS-感情表象連関において、感情表象は大きく分けて”ポジティブ””ネガティブ”の2通りがある。実は、サイコパスは否定的な刺激(他者の苦痛や恐怖)について反応性の低下を示すものの、①肯定的な刺激の処理については障害をそれほど示さない。

 

そして、自然な表情をした人の写真を提示し、その人が信頼できるかどうか判断するように求めた課題では、健常者は信頼できない人と判断した顔に対して扁桃体の活性が高まることが示されている。

 

さらに、目の周辺だけの情報に基づいてその人の複雑な社会的情動について判断を求めた課題でも、遂行中に扁桃体が活性化されることが示された。

 

扁桃体損傷がある患者はこれらの課題をこなすことができないにもかかわらず、サイコパス②「信頼性」と「社会認知」の課題で障害を示さない。

 

つまり、サイコパス扁桃体機能のすべてが障害されているわけではなく、「刺激-罰連関」の形成が選択的に障害されていることが示唆される。

 

したがって、サイコパスの根本的原因は遺伝子異常であり、特定の神経伝達物質の阻害が刺激-罰連関形成の機能を特異的に低下させていると予想できる。

 

 

どの神経伝達物質が機能不全なのかは明らかではない。可能性として、ストレス/脅威刺激に対するノルアドレナリンの反応が阻害されていることが示唆される。

 

その根拠として、ノルアドレナリン嫌悪手がかりによって意思決定を調節していることが示されている。(罰と連関した刺激を回避するかどうかは、ノルアドレナリン作動性ニューロンによって調節されるということ)

 

またノルアドレナリン悲しみ表情の認知に影響を与えること、反社会的行動/行為障害に関連することがこの仮説をさらに支持する。

 

 

Question

  • 本章で紹介した扁桃体の機能はどのようなものか。

 

答え:IESモデルからは「感覚形成の調節(SCとの連絡)」「内臓機能の調節(脳幹との連絡)」「目的志向行動の調節(vm FCとの連絡)」の機能をもつことが示唆され、条件づけに関しては「CS-US連関(BLA)」「CS-感情表象連関(BLA)」「CS-UR連関(CeN,BLA)」の形成に必要。注意に関しては「情動刺激に対するボトムアップの影響」をもつ。

 

このうち、BLAによる「CS-感情表象連関」、特に「刺激-罰連関」の形成は道具的学習と密接にかかわり、サイコパスが顕著な障害を示す学習機能のひとつである。

 

 

答え:ある遺伝子異常が扁桃体「刺激-罰連関形成」を阻害する。これにより、たとえ自分の反社会的行動(CS)によって他者の苦痛(US)が生じても「CS-US連関」や特に「CS-感情表象連関」は形成されず、嫌悪条件づけが起こらない。すなわち反社会的行動の企図(CS)は「こわばり、回避反応」などのURを引き起こさず、反社会的行動が抑制されない。したがって、目的を達成するための手段として反社会的行動を学習してしまう。

 

  • IESモデルを用いると、良心や罪悪感はどのように説明できるか。

 

答え:良心は道徳的社会化によって形成される。道徳的社会化には嫌悪条件づけが必要であり、健常者では”悪いこと”を企図したり実行するとUS(被害者の苦痛)や感情表象(この行為は”悪”である)、不快なUR(こわばり、回避反応、覚醒度の上昇)が引き出されることを学習し、道徳違反が抑制・回避される。

 

罪悪感とは、”学習された”CS(道徳違反)を行うことで、上記のUSおよび感情表象、そしてURが引き出された情動状態を指す。より厳密には、その情動状態を”知覚”したときの「感情」が罪悪感であると考えられる。サイコパスは”学習していない”のでCSによって罪悪感は生じない。

 

「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ」というジェームズ=ランゲ説に則っていえば、罪悪感を抱くから”善人”なのではない、”善人”だから罪悪感を抱くのだ。つまり消極的な(非サイコパスという意味で)善人とは、道徳違反が嫌悪条件づけにより抑制されている人である。

 

 

 

答え:ほぼあり得ない。サイコパスに関与する扁桃体の機能不全は遺伝子異常が根本的原因であると考えられる。つまり、サイコパスの発症リスクはある程度遺伝的に定められている。また後天的に扁桃体を損傷しても、それまでに蓄積されたCS-US連関やCS-感情表象連関は島に保存されているため、道徳違反が”悪”であるという認識を失ったり、非道徳的に振る舞うといったことは起こらない。

 

しかしながら、関連遺伝子の後天的遺伝子修飾や環境要因による扁桃体の異常がサイコパスの発症を引き起こさないわけではない。原理的には、早い段階(連関形成以前)で扁桃体の特定の部分を損傷すれば後天的サイコパスになりうる。また、島の連関を”消去”することが可能かもしれない。

 

 

 

答え:遺伝子異常により情動障害を有するものの、恵まれた環境や優れた知性をもち、ある目的を達成しようとする際、反社会的行動以外の手段をより多く学習しているサイコパスのこと。なぜ他の手段を取るのかについては、刺激-報酬連関形成による社会化が功を奏したのだと思われる。つまり、手っ取り早く反社会的行動に訴えるよりも、長期的にみれば向社会的な手段で目的を達成する方が自身にとっても合理的であると学習したサイコパスと考えられる。

 

 

参考

 

サイコパス -冷淡な脳-

サイコパス -冷淡な脳-